妙高の酒造めぐり〈君の井酒造〉
- 2020.02.18
米どころは酒どころ。
ふるやで扱っている妙高の酒造めぐり。
1842年創業の「君の井酒造」をご紹介します。
酒造のある新井という土地は、豪雪地ゆえ天然の冷蔵庫となり
塩蔵品、漬物と合わせて日本酒造りも行われてきました。
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酒造は北国街道沿いにあります。
佐渡の金や大量の海産物など様々な物資を江戸へ運ぶ通路として、
また北陸方面の参勤交代の通路としても北国街道は重要な街道でした。
そして妙高を越えるために泊まる宿場町として栄えたのがここ新井宿です。
そしてこの新井宿でも日本酒を作ってきたのです。
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「君の井酒造」は元々は「田中酒造」という名前でした。
明治初期に信越本線が通った際に、明治天皇が北陸を巡行、
東本願寺別院で休まれた時に日本酒を献上したことから「君主に献上した酒」として
「君」と「良質な水が湧き出る井戸」から「君の井」となりました。
辛口だが旨みと深いコクがあると、昔からファンの多い日本酒です。
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君の井酒造では、昔ながらの「山廃仕込み」という製法を継承しています。
「山廃仕込み」は昭和初期にできた技術で、自然の乳酸菌で時間をかけて発酵させる酒造りです。
時間、手間、醸造管理の難しさなど様々なリスクもありますが、
酒の味そのものに旨味が増し、深みのある独特の酸味が生まれます。
酸味がある酒は料理に合わせやすいため、食中酒としても好まれています。
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越淡麗、越神楽、五百万石、山田錦など、酒造りに使う多くの
米は妙高で育てられた酒米を使用しており、
磨きの精度を管理できるよう、ほぼ自社で精米しています。
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ふるやに入れている「生酒(左)」と「清酒(右)」。
一般的な日本酒は通常2回火入れをしますが、生酒は1度も火入れしないで仕上げたものです。
火入れをしないことで酵素などが生きており、フレッシュさを保っています。
当宿では、フレッシュのまま飲みきれるよう小瓶にてお出ししています。
右の「清酒」は山廃仕込ではありません。
君の井酒造では、「山廃仕込み」だけでなく近代的な方法も取り入れ、
時代に沿った酒造りをしています。
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君の井酒造では蔵見学も行なっています。
自慢の日本酒は試飲もできますのでぜひお立ち寄りください。